Sable and Piore(1984)によって提起された柔軟な専門化仮説は,レギュラシオン学派を媒介として,Scott (1988)をはじめとして,経済地理学に大きな影響をもたらしてきた.一連の議論に従えば,その仮説は,1970年代の経済危機を「産業分水嶺」として,それまでフォーディスト企業が牽引してきた少品種大量生産が後退し,新しい産業地域の形成を伴った柔軟な生産が卓越してきたというものである.もちろん,このようなパラダイムシフトには多くの懐疑的な批判論文が寄せられてきた.しかし,こ...