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トヨタ医報 33 75-79 2024年2月最大径61.9mmの巨大左室内血栓症で、2週間以上抗凝固療法を行うも左室内構造物の縮小は乏しく、頭部MRIで微小血栓が散在し、全身性血栓塞栓症を発症するリスクが高いと判断し、入院第20病日に外科的血栓除去と冠状動脈バイパス術を施行した症例(30代男性)について報告した。左室内構造物である巨大な血栓は完全に除去することができ、経過良好で第36病日に退院となった。第13病日に行った心臓冠動脈造影検査で、左冠動脈前下行枝7番に90%の狭窄を認め、左室内の血栓は、左冠動脈前下行枝の心筋梗塞による心機能低下により形成されたものと推測された。左室内血栓症の治療は抗凝固療法が一般的だが、全身性血栓塞栓症のリスクが高い例や開胸手術で冠動脈病変に対する治療が必要な症例では、外科的手術療法が良い適応であると考えられた。