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所長

 

國中 均

 
アバター
研究者氏名國中 均
 
クニナカ ヒトシ
URLhttp://www.ep.isas.jaxa.jp
所属国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
部署宇宙科学研究所
職名理事・所長
学位工学博士(東京大学), 工学修士(東京大学)
ORCID ID0000-0002-6871-3133
J-Global ID200901080116851867

プロフィール

 2010年6月13日、「はやぶさ」小惑星探査機が宇宙の遥か彼方から豪州ウーメラ砂漠に目掛けて地球大気に超高速で突入してきました。探査機は木っ端微塵に分解し蒸発してしまいましたが、カプセルだけが高温環境を耐え抜き落下傘を開き、着陸に成功しました。この事業を実現させるため、イオンエンジンの研究開発、探査機設計・製造・試験、打ち上げ、宇宙運用、豪州政府と交渉、世界の科学者の説得と、多岐に渡る課題を一つ一つ解決した上で、私が回収班長として組織した50名に及ぶJAXA職員を300kmに渡る広域に散開させ、カプセル収容が成されました。 カプセルの回収に成功し、安堵と疲労で意識が遠のく中、ふと過去の記憶が蘇りました。高校生の頃、武蔵高校の太陽観測部で20名ほどの中学生を引率して、夏にはペルセウス座流星群の観測のため福島県の安達太良高原と熱塩温泉と二手に分かれて合宿したこと、年末にはこぐま座やしぶんぎ座流星群観測のため高尾山頂上と校舎屋上から2点観測したことが思い出されました。昔は20名でクラブ活動の日本国内だったものが、50名で国家事業としての海外遠征にまでなったのだとその時初めて気が付きました。 はやぶさの成果に基づいて、私がプロジェクトマネージャとして完成させた「はやぶさ2」は、ほぼ完璧に宇宙ミッションをこなし、2020年12月6日、再び豪州ウーメラ砂漠にカプセルを届けました。コロナ禍という宇宙科学技術とは異次元の困難を突破し、70名に及ぶJAXA職員を再び豪州に送り込み、カプセル回収に成功しました。それだけでなく、2029年には火星の月フォボスからサンプル回収する3度目の事業:MMX計画を開発中であり、約10年間隔で定期的に宇宙物質を持ち帰り地球で分析するmanifestoを推進しています。水星から土星に至る各天体に宇宙研のDNAを込めた探査機を配置した「深宇宙船団 (Deep Space Fleet)」がもうじきに完成します。これらtacticsを総動員して、太陽系46億年の歴史を解き明かし、生命の起源に迫ります。

 
 惑星探査のみならず、宇宙物理・天文分野にても成果を積み上げてきました。これまでの個々個別の活動から、ガンマ線・X線・紫外線・可視光・赤外線・マイクロ波・電波といった「波長統合した宇宙観測ネットワーク化」という課題を掲げて、宇宙138億年の進化の究明に挑戦しています。 

 
紫綬褒章授章に寄せて  助手の頃35歳(1995年)にH2ロケット3号機で打ち上げたSFU(Space Flyer Unit)上の2D/HV実験で大失敗をした。電気・機械・熱・システムの総合である宇宙技術に関して、自分の非力を痛いほど思い知った。『僕の甘酸っぱい挫折に捧ぐ・・・』。  同年、MUSES-C(後の「はやぶさ」)プロジェクト立ち上げのための宇宙開発委員会にて不用意な発言をしてしまい、その直後松尾先生にしょっぴかれて「答弁がなっとらん」とめちゃくちゃ怒られた。しかし、上杉先生と川口先生からイオンエンジンを宇宙応用するチャンスをもらい、MUSES-Cの完成を目指し、死ぬ気で研究開発に没頭した。国内外・世界中から大批判を受ける中、異端のマイクロ波放電式イオンエンジンの完成を急いだ。『僕らが夢見たのって誰かと同じ色の未来じゃない』。途端に技術的困難に直面し、開発方針の行く末に答えがあるのかどうか全く分からなくなり、五里霧中で実験室の中で悪戦苦闘する毎日だった。青く視える隣の芝生の技術に助けを借りるか、心が揺れた。栗木先生にもう辞めさせて欲しいと懇願したが許されず、ゴミ箱を蹴って教授室を出た。あの時、腐らず諦めず粘れてほんとに良かった。43歳(2003年)でM-Vロケット5号機を打ち上げた以降アドレナリン全開で宇宙と戦い、50歳(2010年)の時イオンエンジンがギリギリ耐えて「はやぶさ」が地球に帰って来た。豪州ウーメラ砂漠に落ちたカプセルを回収する瞬間に立ち会った(写真参照)。  2011年(51歳)から始まる「はやぶさ2」には、長谷川理事と山浦執行役の無茶振りでプロジェクトマネジャーとして開発し、2014年(54歳)に打ち上げを迎えた。栗木先生がSFU打ち上げの際に座った種子島宇宙センター総合司令棟の同じ席で、探査機主任としてH2Aロケット26号機打ち上げ7分前に探査機準備完了のスイッチを押す時、漆黒の宇宙に分け入る重圧に心が押しつぶされそうだった。しかし、イオンエンジンがプラズマの光を灯し稼働し始めた時、ミッション達成を確信した。『誰も知らない世界へ向かっていく勇気を"ミライ"って言うらしい』。有名になった「はやぶさ2」は衆目監視『ガラスケースの中』で苦しい場面もあったが、コロナ禍を逆手に取って完全に制御された回収を、2020年(60歳)の時達成できた。  助手の頃、相模原に移転して研究室が7階になったので、長友先生とエレベータでしばしばご一緒することとなるのだが、その度に「宇宙研から電気推進はなくなるぞ」と叱咤され、どうやって言い返すか論理武装する機会をもらった。栗木先生は、将来國中が露頭に迷うことを心配されて、大学に転出できるように「論文を書け」といつも言われた。周辺分野で研究開発に対する不道徳や不誠実な態度を目の当たりにして辟易とし、絶対そうならないと誓った。見出した答えは、細かい研究に終始するのでなく、宇宙機械だからこそ宇宙で動いてこそを目標に、独自のマイクロ波放電式イオンエンジンを最短時間で宇宙実現させることに腐心した。その結果、研究開始から15年で宇宙進出を果たし、今や宇宙研の主力技術となったことは、私の誇りである。定年退職された後、2003年のJAXA統合後に長友先生がイオンエンジン耐久試験室に出向かれて、「電気推進は宇宙研に残ったね」と言われたのは、お褒めの言葉だったのだろう。『ずっと探していた理想の自分ってもうちょっとカッコよかったけれど、僕が歩いてきた日々と道のりをほんとは"ジブン"っていうらしい』。ごく最近までイオンエンジンのことをすべて掌握した気になっていたが、「はやぶさ2拡張」ミッションのイオンエンジンは宇宙からいろいろな未知なる現象を知らしめてくれて、日々瞳孔が開く思いだ。自分を信じ『あと一歩だけ、前に進もう』。今は、宇宙研職員に「答弁がなっとらん」と言っている自分がいる。   2010年6月13日「はやぶさ」が豪州ウーメラに帰ってきた直後、合成でなく長時間露光で撮った集合写真。中央が國中。頭上に南十字星が輝く。(写真:小泉宏之提供)『空にはいつでもまるで僕らの希望のようにこぼれそうなくらい星が輝いて、届かないその手を伸ばしたんだ』。我々の希望が宇宙に届いた瞬間。 注:『』内は、NHKプロフェッショナル仕事の流儀、主題歌「progress」(スガシカオ)からの引用 参考:NHKプロフェッショナル仕事の流儀、第227回「ゆっくりでも、止まらなければ、けっこう進む~宇宙工学者・國中均」http://www.nhk.or.jp/professional/2014/0407/index.html

研究キーワード

 
宇宙機のプラズマ干渉 ,マイクロ波放電 ,電気推進

研究分野

 
  • フロンティア(航空・船舶) / 航空宇宙工学 / 
  • エネルギー / プラズマ科学 / 
  • エネルギー / プラズマ応用科学 / 

経歴

 
2018年4月
 - 
現在
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 理事・所長 
 
2005年4月
 - 
2018年3月
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 教授 
 

学歴

 
1983年4月
 - 
1988年3月
東京大学大学院 工学系研究科 航空学
 
1979年4月
 - 
1983年3月
京都大学 工学部 航空工学
 
1976年4月
 - 
1979年3月
私立武蔵高校  
 
1973年4月
 - 
1976年3月
千代田区立麹町中学校  
 
1967年4月
 - 
1973年3月
千代田区立番町小学校  
 

受賞

 
2021年11月
内閣府, 紫綬褒章,航空宇宙工学、特に電気推進工学
國中 均 
 
2021年10月
服部報公会, 報公賞,電子サイクロトロン共鳴放電式プラズマ源の研究開発と小惑星探査機への 宇宙実用並びに産業への応用展開
國中 均 
 
2020年12月
内閣府, 内閣総理大臣顕彰
はやぶさ2プロジェクトチーム 
 
2020年9月
公益財団法人双葉電子記念財団, 衞藤細矢記念賞,電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源
國中均 
 
2019年3月
東レ科学振興会, 東レ科学技術賞,マイクロ波放電式イオンエンジンの研究開発と太陽系探査の推進
國中 均 
 

論文

 
 
Takato Morishita   Ryudo Tsukizaki   Kazutaka Nishiyama   Hitoshi Kuninaka   
Journal of Applied Physics   131(1) 013301-013301   2022年1月   [査読有り]
 
Giulio Coral   Kiyoshi Kinefuchi   Daisuke Nakata   Ryudo Tsukizaki   Kazutaka Nishiyama   Hitoshi Kuninaka   
Acta Astronautica   181 14-27   2021年1月   [査読有り]
This paper presents the design methodology and performance testing of an additively manufactured resistojet operating on hydrogen as propellant. Additive manufacturing allows to produce complex monolithic resistors, resulting in reliable high effi...
 
Yoshitaka Tani   Yusuke Yamashita   Ryudo Tsukizaki   Kazutaka Nishiyama   Hitoshi Kuninaka   
Acta Astronautica   176 77-88   2020年11月   [査読有り]
 
國中 均   
表面と真空   63(4) 183-188   2020年4月   [招待有り]
 
森下   神田   細田   最上   峯村   野村   國中   
静電気学会誌   44(3) 128-134   2020年3月   [査読有り]

MISC

 
 
Hitoshi Kuninaka   
Advances in Optical and Mechanical Technologies for Telescopes and Instrumentation IV      2020年12月   [招待有り]
 
國中均   
技術と経済   623 1-10   2020年3月   [招待有り]
 
森下 貴都   神田 大樹   細田 聡史   月崎 竜童   西山 和孝   國中 均   Morishita Takato   Koda Daiki   Hosoda Satoshi   Tsukizaki Ryudo   Nishiyama Kazutaka   Kuninaka Hitoshi   
平成30年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム 講演集 = Proceedings of 2019 Symposium on Laboratory Experiment for Space Science      2019年2月
平成30年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム (2019年2月28日-3月1日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)相模原キャンパス), 相模原市, 神奈川県資料番号: SA6000139029
 
森下貴都   月崎竜童   山本直嗣   西山和孝   國中均   
航空原動機・宇宙推進講演会講演論文集(CD-ROM)   59th    2019年
 
山下 裕介   谷 義隆   神田 大樹   月崎 竜童   西山 和孝   國中 均   Yamashita Yusuke   Tani Yoshitaka   Koda Daiki   Tsukizaki Ryudo   Nishiyama Kazutaka   Kuninaka Hitoshi   
平成30年度宇宙輸送シンポジウム: 講演集録 = Proceedings of Space Transportation Symposium FY2018      2019年1月
平成30年度宇宙輸送シンポジウム(2019年1月17日-18日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)), 相模原市, 神奈川県資料番号: SA6000136057レポート番号: STEP-2018-001

書籍等出版物

 
 
國中, 均, 中山, 宜典, 西山, 和孝, 荒川, 義博
コロナ社   2006年12月   (ISBN:4339012289)

講演・口頭発表等

 
 
Jun'ichiro Kawaguchi   Hitoshi Kuninaka   Makoto Yoshikawa   
GUIDANCE AND CONTROL 2011   2011年   UNIVELT INC   
The Hayabusa spacecraft aiming at technology demonstration for the world's first sample and return from an extra-terrestrial object was launched by the fifth M-V rocket from Uchinoura Space Center, JAXA on May 9, 2003. It went through several trou...
 
J Kawaguchi   H Kuninaka   A Fujiwara   T Uesugi   
PROCEEDINGS OF THE FIFTH IAA INTERNATIONAL CONFERENCE ON LOW-COST PLANETARY MISSIONS   2003年   ESA PUBLICATIONS DIVISION C/O ESTEC   
The MUSES-C was launched on May 9(th) of this year and was named 'Hayabusa'. It takes an aim at the world's first sample and return from a near Earth asteroid, 1998SF36 now renamed "Itokawa". The spacecraft is a kind of technology demonstrator wit...

担当経験のある科目(授業)

 
2005年4月
 - 
2018年3月
電気推進工学 (東京大学大学院宇宙航空学専攻)

所属学協会

 
2016年10月
   
 
国際宇宙航行アカデミー
 
   
 
日本ロケット協会
 
   
 
日本物理学会
 
   
 
日本航空宇宙学会
 
   
 
米国航空宇宙学会(American Institute of Aeronantics and Astronantics)

共同研究・競争的資金等の研究課題

 
 
イノベーションハブ構築支援事業、太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ
科学技術振興機構: 研究成果展開事業(産学官の連携による共創の「場」の形成支援)
國中 均 
研究期間: 2015年7月 - 2020年3月
 
地球高層中性大気のグローバル・リモートセンシング技術に関する研究3
日本学術振興会: 科学研究費基盤研究A
國中 均 
研究期間: 2010年4月 - 2015年3月
 
イオンエンジンからのマイクロ波漏洩と伝搬に関する研究
日本学術振興会: 科学研究費特別研究員奨励費宇宙推進
國中 均 
研究期間: 2009年4月 - 2011年3月
 
地球高層中性大気のグローバル・リモートセンシング技術に関する研究2
日本学術振興会: 科学研究費基盤研究B
國中 均 
研究期間: 2007年4月 - 2010年3月
 
ドラッグフリー衛星用微小推力の研究
日本学術振興会: 科学研究費挑戦的萌芽研究
國中 均 
研究期間: 2007年4月 - 2010年3月

メディア報道

 
 
NHK   クローズアップ現代+   2019年7月   [テレビ・ラジオ番組]
 
NHK   NHKスペシャル   https://www.facebook.com/NHKonline/posts/2639642986062350/   2019年3月   [テレビ・ラジオ番組]
 
朝日新聞   仕事力 朝日新聞ひろば   2017年2月   [新聞・雑誌]
 
NHK   プロフェッショナル 仕事の流儀   2014年4月   [テレビ・ラジオ番組]