増谷順子
日本老年看護学会誌 15(1) 54-63 2011年1月 査読有り
本研究は,特別養護老人ホーム入所中の認知症高齢者3人に週1回,計6回,先行研究の知見をもとに作成した,9つの構成要素をもつ園芸活動プログラム(試案)を実施したことで,どのような行動が起こるのかを明らかにすることを目的とした.3事例の分析の結果,認知症高齢者の4項目の特性に応じた働きかけに対応し,セッション中や日常の中で,(1)植物の刺激や生長への感情表出,(2)作業に取り組む姿勢,(3)他者との交流増加,他者への配慮,(4)活動の認識,天気への関心など意図した行動変化が示された.プログラムの課題として,認知症レベル,園芸経験の有無などを考慮し対象者の選定条件,介入方法(セッション中や日常での働きかけ方),評価指標の項目について検討する必要がある.今後プログラムの課題を検討し修正・洗練を行い,修正したプログラムを高齢者に実施し,意図した行動変化が起こるかを明らかにしながら,よりよいプログラムを開発する.