研究者業績

中村 太戯留

ナカムラ タギル  (Tagiru NAKAMURA)

基本情報

所属
武蔵野大学 データサイエンス学部 (教養教育) 教授
学位
博士(学術)(慶應義塾大学)
修士(政策・メディア)(慶應義塾大学)
学士(環境情報学)(慶應義塾大学)

J-GLOBAL ID
200901029865078729
researchmap会員ID
5000048922

慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科にて論文博士を取得、同環境情報学部講師(非常勤)。東京工科大学メディア学部助手、同片柳研究所助教を経て、同メディア学部演習講師(非常勤)。武蔵野大学データサイエンス学部(教養教育)教授。博士(学術)。
専門は社会神経科学、実験心理学、言語学(語用論)。ポジティブ情動(ユーモア)に関する言語論的モデル化、心理学的実験、そして脳科学的実験を推進している。


論文

 61
  • 中村太戯留
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 7 95-102 2026年3月  査読有り筆頭著者
    受講生がグループワークで作成した心理測定尺度に,オンラインの回答フォームで相互回答する際,受講生ごとに異なる確認コードを用いることで,受講生間では回答者の匿名性を担保しつつ,教員は各受講生の活動を評価可能な方法を考案し,授業の効率化と受講生の学修意欲の向上を図った.これまでは,まず教員のみが回答を閲覧できる状態で記名式の回答をしてもらい,次に教員が手作業で匿名化して受講生にその回答を共有する方式をとっていた.しかし,授業中に教員がそれを実施すると受講生を待たせて学修意欲が低下したり,遅れて送付された回答を何度も転記して非効率だったりという難点があった.そこで,生成AIで受講生ごとに異なる確認コードを生成して予め個別配信し,その確認コードを相互回答の際に記載してもらい,そして各回答は即時的に共有する方法を考案した.これを用いた相互回答を異なる週に3回実施したところ回答率はいずれも97%以上であり,また受講生にアンケートで安心して回答できたかどうかを5件法で尋ねたところ5段階目が最頻値であった.そのため,確認コードを記載して回答を即時共有する方法により,授業の効率化と受講生の学修意欲が促進され,高い回答率に貢献した可能性が示唆された.
  • 中村太戯留, 糸田孝太
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 7 47-54 2026年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「プログラミング基礎」というAI副専攻科目における多様な学生の学修意欲の向上を図りつつ,前年までの問題点を解消する取り組みについて報告する.前年までは,こころざし半ばにして履修放棄する受講生が後を絶たないことが問題であった.受講生は,1回分の講義に相当する分量の授業資料の精読を,授業前にオンデマンド型のオンライン授業として予習したうえで,同時双方向型のオンライン授業に臨む必要があり,予習に対する心理的ハードルが高い可能性が考えられた.対策として,スキマ時間に,講師とは異なる立場から受講生に寄り添った音声解説をして,心理的ハードルを下げるように試みた.具体的には,ラジオ番組のナビゲーターに見立てた生成AIの2人の声を用いて,トークショーのように会話しながら予習資料のポイントを音声解説し,通学途中の電車の中などのスキマ時間に視聴できるように毎週配布した.音声解説が理解を深めるのに役立ったかを5件法で受講生に尋ねたところどの週も5段階目が最頻値であり,心理的ハードルの低減に役立ったかについても5段階目が最頻値であった.この対策を実施したクラスのAI副専攻生の履修完遂率は98%であり,ラジオ番組風の音声解説により,予習に対する心理的ハードルが低減し,そのことが履修放棄の低減に貢献した一因である可能性が示唆された.
  • 中村太戯留
    The Basis : 武蔵野大学教養教育リサーチセンター紀要 16 95-108 2026年3月  査読有り筆頭著者
    ユーモア理解の世代差について、保護フレームと関連性が面白さに影響を与えるとモデル化する「見いだし」理論の説明可能性を検討した。その結果、全世代で関連性が面白さに与える影響は保護フレームよりもはるかに大きく、「見いだし」理論の説明可能性が示唆された。また、身近な生活圏を舞台としたネタは全世代で面白さが高かった。なお、40代は社会的な広がりを舞台としたネタに冷淡で、彼らの生きた時代の影響と解釈された。
  • 中村太戯留
    第42回日本認知科学会大会予稿集 772-775 2025年9月  査読有り筆頭著者
    ユーモア理解の地域差について,ユーモア理解の「見いだし」理論による説明の可能性を検討した.具体的には,保護フレームないし関連性がユーモアの面白さに与える影響について,ひねり,ユーモア態度,居住地域による変調の可能性を実証的に検討した.その結果,居住地域により関連性を感知するひねりやユーモア態度に違いがあり,保護フレームの作用と合わせて,ユーモアの面白さに影響する可能性が示唆された.
  • 中村太戯留, 岡田龍太郎
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 6 71-78 2025年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「データサイエンス活用 1」および「データサイエンス活用 2」という連続した科目の連携を強化しつつ,前年までの問題点を解消する取り組みについて報告する.この科目は予測力や選択力の育成を念頭に,各授業回の前半で講義し,後半でグループワークも含めてその内容を演習するという内容の授業となっている.ただ,設定可能な授業時間枠の都合から,各授業回は 1 コマのみとなっていた.そのため,受講生が最終課題に取り組む期間が短いことと,そのグループワークのために要する授業時間外の活動時間の確保が困難ということが問題であった.対策として,開講時間が近接した別科目と連携し,2 コマ続きの授業時間枠をタイムシェアリングする方法を導入した.2 つの授業回の間に別科目の授業回をはさむことで課題に取り組む期間を長くすることができ,2 コマ続きの授業にすることで授業時間内の受講生のグループワーク時間を増やすことが可能となった.その結果として,受講生の毎週の授業時間外の活動時間は,前年の 5.2 時間から 3.6 時間に減少し,適正化が確認された.このことから,設置可能な授業時間枠が限られた科目群における授業時間枠のタイムシェアリングの有効性が示唆された.
  • 中村太戯留
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 6 4-11 2025年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「人工知能基礎」と「データサイエンス基礎」という全学科必修の情報科目における多様な学生の学修意欲の向上を図りつつ,前年までの問題点を解消する取り組みについて報告する.前年までは,より難易度の高い後者の科目を先に実施しており,またその科目の最終課題のテーマに対する受講生の関心が低いことが問題であった.また,入学直後の授業であるにもかかわらず,大学で授業を受講するための前提となる大学のコンピュータネットワークや受講生自身のノートパソコンについて学ぶ機会が提供されていないことも問題であった.対策として,科目の受講順序を入れ替え,前者の科目の最初に受講の前提となる事項を学ぶ機会を追加し,そして後者の最終課題のテーマを多様な関心に対応しうるものに調整した.アンケートの結果から,追加したネットワークやコンピュータに関する項目を学べたこと,最終課題のテーマに対する関心や成果に対する満足度が向上したことを確認することができた.このことから,一連の対策を講じたことの有効性が示唆された.
  • 中村太戯留
    第41回日本認知科学会大会予稿集 575-578 2024年10月  査読有り筆頭著者
    情動知能は,情動の性質を理解して賢く活用する力のことで,非認知能力の下位概念であるが,他の下位概念との関係は必ずしも明らかではない.そこで,情動知能,レジリエンス,そして批判的思考の各尺度を用いて検討した.情動知能の因子は,レジリエンスや批判的思考の因子と相関があり,それぞれクラスターを形成しており,そして4つの成分に整理することができた.すなわち,情動知能を高める手掛かりとして,これらの因子を活用できる可能性が示唆された.
  • Koharu Sano, Keiko Ojima, Tagiru Nakamura, Ryotaro Okada, Takafumi Nakanishi
    International Journal of Smart Computing and Artificial Intelligence 8(1) 1-19 2024年6月  査読有り
    This study introduces a self-mental care management system utilizing an emotion estimation technique applied to heart rate variability parameters derived from vital data. The escalating prevalence of pandemics has exacerbated the dearth of accessible mental healthcare services, underscoring the heightened significance of investing in mental health programs. However, advancements in sensor technology, marked by enhanced precision and reduced size, facilitate the rapid acquisition of vital data from users. In our approach, we capture electrocardiogram (ECG) data concurrently with the narration of emotionally evocative stories. Through the analysis of the resulting data trends, emotions strongly correlated with the newly acquired ECG data were identified and inferred to be the emotions manifested within the ECG data. Our methodology enables the estimation of user emotions based on ECG data, and is further implemented in an application featuring real-time visualization of users' emotional states through chat icons. The deployment of this application empowers users to monitor emotional fluctuations and effectively manage their mental wellbeing.
  • 中村太戯留, 寺田倫子, 鈴木大助, 中山義人
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 5 120-127 2024年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「メディアリテラシー」という武蔵野大学の選択科目における,非認知能力の育成に向けた取り組みについて報告する.具体的には,非認知能力の下位概念である,批判的思考,情動知能,そしてレジリエンスの指標による測定を通じて自身の非認知能力の特性をデータとして捉え,強みを活かすとともに,弱みの手当てを試みる活動を実践した.受講生の非認知能力に関する 3 つの指標の平均値は,5 段階評価の中央の値の 3 よりもやや高い3.5 程度であった.学期末に授業方法に関するアンケートを実施したところ,各学修項目の5 段階評価は受講前より受講後が高くなっており,この取り組みの有用性が示唆された.
  • 中村太戯留, 岡田龍太郎
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 5 33-40 2024年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「データサイエンス活用」という武蔵野大学の AI 副専攻科目における,予測力や選択力の育成に向けた取り組みについて報告する.過去や現在のデータを用いて未来を見抜く予測力,複数の事柄の比較検討を通じて最適な事例を選ぶ選択力の基礎を,AI ツールを活用して反復的に学ぶ活動を実践した.特に,仮説を立てて検証するプロセスの学修時間を手厚くするために,オンデマンド教材を活用して知識修得は受講生のペースで進められるように,またオープンデータを活用して題材に多様性をもたせるように工夫した.学期末に授業方法に関するアンケートを実施したところ,各学修項目の 5 段階評価は受講前より受講後が高くなっており,この取り組みの有用性が示唆された.
  • 中村太戯留
    第40回日本認知科学会大会予稿集 371-374 2023年9月  査読有り筆頭著者
    ユーモア理解においては,ヒトの生存と関連性のある事柄の見いだしと,その事柄を見いだしたヒトを保護するフレームの2つが重要であると,ユーモア理解の「見いだし」理論では考えられている.優越理論,エネルギー理論,そして不調和解消理論などの他の理論で提案されてきた概念は,この2つに発展的に統合できる可能性が考えられる.本研究では,ユーモアの事例を参照しつつ,この2つの概念装置を用いた説明可能性について検討する.
  • 中村 太戯留
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 4 65-72 2023年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「データサイエンス基礎」と「人工知能基礎」という武蔵野大学の全学科必修の科目における,各学生が到達目標を確認しながら学べる仕組みの実践について報告する.具体的には,ARCS モデルという,注意,関連性,自信,そして満足感を重視する教育方法において提唱されている,「目標に向かわせる」「ゴールインテープをはる」「一歩ずつ確かめて進ませる」そして「ムダに終わらせない」という項目を念頭に,全学生が手元に有している自分のノートパソコン(BYOD)を利用して,授業の各回の冒頭において各回の学修目標を確認してもらい,授業の各回のまとめ時においてその学修目標と対応した評価項目を自己チェックしてもらった.学期末に授業方法に関するアンケートを実施したところ,5 段階評価における 4 が最頻値となっており,この教育方法の有用性が示唆された.
  • Koharu Sano, Keiko Ojima, Tagiru Nakamura, Ryotaro Okada, Takafumi Nakanishi
    EPiC Series in Computing 81 89-100 2022年9月  査読有り
    In this paper, we present an emotion estimation method using heart rate variability parameters of vital data. Recently, as sensors have become more precise and smaller, it has been possible to obtain users' vital data in real-time quickly. In our method, ECG (electrocardiogram) data are measured beforehand while listening to a story with voice narration that evokes emotions and based on the trends obtained through the measurement, the emotions that have a high correlation with the newly acquired ECG data are estimated to be the emotions expressed in the ECG data. With the implementation of our method, it is possible to estimate the user's emotions based on ECG data. In this paper, we also represent the application of our method to chat icons that see users' emotions in real-time. By realizing this application, users will see the changes in their emotions and control their mental health.
  • 中村太戯留
    第39回日本認知科学会大会予稿集 420-423 2022年9月  査読有り筆頭著者
    ユーモア理解では,ヒトの生存と関連性のある事柄の見いだしと,「保護されている」という認識の枠組みが重要である.神経基盤として,前者は扁桃体が関与するが,後者は不明である.皮肉理解では,扁桃体を賦活するが,「保護されている」という認識の枠組みは機能せず,ユーモアを生じないことが多い.メタ分析でユーモアと皮肉を比較した結果,側頭葉前部,内側前頭前野,そして皮質下領域などが,「保護されている」という認識の枠組みの神経基盤の候補と示唆された.
  • 中村太戯留
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 3 69-77 2022年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,武蔵野大学での全学科を対象とした必修科目である,「データサイエンス基礎」と「人工知能基礎」における,フィードバックを重視したサブ講師の担任制の実践について報告する.武蔵野大学では,データサイエンスや人工知能の利活用を学ぶことを目的とし,文系と理系を含めたすべての学生を対象とした情報必修科目を開講している.しかし,多人数のクラスになること,オンライン授業を実施していることにより,一人の講師では,授業時間中に一人ずつの受講生にコメント等のフィードバックを実施することが厳しい状況となっていた.そこで,メイン講師のほかに,複数名のサブ講師を配置し,各サブ講師による受講生の担任制を実践した.授業評価アンケートでは,サブ講師はサポートを受けるのに役立った,サブ講師のフィードバックは学修の質向上に役立った,という肯定的な評価が得られた.すなわち,メイン講師による多人数への効率的な講義や指示と,サブ講師による各個人へのきめ細かなフィードバックの併用が有用である可能性が示唆された.
  • Tagiru Nakamura, Tomoko Matsui, Akira Utsumi, Motofumi Sumiya, Eri Nakagawa, Norihiro Sadato
    Neuropsychologia 170(108213) 1-11 2022年3月  査読有り筆頭著者
    During conversation, sarcasm is perceived as an incongruity between the context, content, and prosody of the utterance. We hypothesized that prosody modifies the context‒content incongruity effect. Thus, we conducted a functional magnetic resonance imaging study with an auditory sarcasm detection task in 22 healthy adult participants. The participants listened to a short conversation according to which they had done either a good or bad deed, about which their conversational partner made a positive comment. When the context was positive (congruent with the content of utterance), positive prosody lessened the sarcasm rating, whereas negative prosody enhanced this rating. When the context was negative, the positive prosody effect disappeared, while negative prosody increased the sarcasm rating. Thus, context‒content incongruity is the primary determinant of sarcasm comprehension; and is modified by prosody in a context-dependent manner. Neuroimaging results showed that the context‒content incongruity effect was notable in the cerebellum and the mentalizing network, representing what was uttered in a particular context. The content‒prosody incongruity effect was observed in the bilateral amygdala, representing the manner of utterance. The interaction between these incongruity effects was found in the bilateral dorsolateral prefrontal cortex, extending to the inferior frontal gyrus and the salience network, including the anterior insular cortex and the caudal part of the dorso-medial prefrontal cortex. These findings indicate that two distinct incongruity detection systems for sarcasm comprehension are integrated in the prefrontal cortices through the salience network.
  • 中村太戯留
    語用論研究 23 34-50 2022年3月  査読有り招待有り筆頭著者
    Humor comprehension has been studied for a long time, but its mechanism has not yet reached a unified view. According to the incongruity resolution theory, humor comprehension is processed in phases. A neuroimaging study reported that, during incongruity resolution phase, the amygdala plays an important role in humor elicitation. Considering that another study reported the amygdala involvement in irony processing as well, “finding” what is related to human survival may be the key to understanding humor. Furthermore, in order for the result of “finding” to elicit humor, “protective frame” against the result must be functioning.
  • 中村太戯留
    第38回日本認知科学会大会予稿集 176-177 2021年9月  査読有り筆頭著者
    扁桃体の関連性感知は,主体にとって意味ある情報を「見いだす」ことである.その際に「保護されている」という認識の枠組みを伴った遊び状態であるときにユーモアが生じると考えられている.この理論は,優越理論における攻撃性を見いだすとき,エネルギー理論における抑圧された暴力的ないし性的な要因を見いだすとき,そして不調和解消理論における新たな関係性や間違いを見いだすとき,ユーモアが生じると捉えると,これらの先行理論と整合するように見える.
  • 中村 太戯留
    Musashino University Smart Intelligence Center紀要 2 22-29 2021年3月  査読有り筆頭著者
    本研究では,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策として実施しているオンライン授業において,学生同士の協調学修,学修した内容のまとめ学修,そして学修成果の積み上げ学修を通して,学生が対話的な学修を進められるように試行した結果を報告する.オンライン授業では受講生が自宅で孤立しやすいため,対話的な手法を取り入れて学修方法を工夫した.具体的には,学びの雰囲気をつくり自分ごとで学ぶ,異なる考えと出会ってお互いに学び合う,多様な考えを整理してお互いに評価する,新しい考えを見いだしその考えを表現する,という狙いのもとでアウトプット型学修を施行した.授業評価アンケートでは,クラスの仲間や教員と対話的に学べた,自分を鍛えるために役立った,そして楽しかったという肯定的な評価が得られた.すなわち,本研究で試行したオンライン授業向けの対話的な工夫においては,学修者が孤立しやすいというオンライン授業のデメリットを単に補うことにとどまらず,対面授業にも応用可能なメリットがあることが示唆された.
  • 田丸恵理子, 渡邊紀文, 中村太戯留, 横山誠, 上林憲行
    情報教育シンポジウム論文集 2020 217-224 2020年12月  査読有り
    武蔵野大学では2020 年4月の新入学生よりBYOD を導入し,これに伴いヘルプデスクを立ち上げた.COVID-19 の影響でヘルプデスクはBYOD サポートから,オンライン授業のサポートまでその役割を拡張することとなった.ICT によるコミュニケーション手段の導入,オンライン授業サポートをバックヤードで支援するオンラインコミュニティの立ち上げ,オンライン授業の体験トレーニングの提供などを行い,4ヶ月間の運用を行った.結果として,支援体制は有効に機能し,2週間程度で安定運用できるようになった.また運用データの分析から,オンライン化によって1年生及び非常勤講師の困難性が顕在化したこと,学生の複数のコミュニケーションチャネルの有効活用の実態,学生間の繋がりがオンライン授業の円滑な実行に寄与すること,などが示された.
  • 中村太戯留
    第37回日本認知科学会大会予稿集 588-592 2020年9月  査読有り筆頭著者
    ユーモア理解において不調和の感知段階と解消段階という過程が関与し,ユーモアを生じる要の解消段階において扁桃体が重要な役割を果たすことが示唆されている.扁桃体は,一見すると明示的ではない隠れた敵意や社会的な脅威などの関連性感知に関与する神経基盤と考えられている.また,保護されているという認識を伴った遊び状態の重要性が指摘されていることも合わせて考えると,ユーモア理解は扁桃体のこのような役割を利用した一種の遊びと考えられる.
  • 中村 太戯留
    Musashino University Smart Intelligence Center紀要 1 4-7 2020年3月  査読有り筆頭著者
    「21 世紀型能力」の育成においても,比較する,分類する,関係づける,多面的に見る,といったコアスキルの重要性が指摘されている.授業の「まとめ」学修は,これらのコアスキルを活用しながら学修内容の理解促進を図る重要なプロセスである.しかし,授業時間外にまとめ学修を促しても,なかなか取り組まないのが現状である.そこで,授業の最後の15分を利用して,授業で学修した要素同士の関係を「1枚の図」としてまとめるグラフィカルサマリー(図解要約)を,クラウド型の授業支援サービス上で毎週実施し,翌週までバージョンアップ可能という条件を設定した.授業の履修者に対するアンケート調査の結果では,9 割の学生がこの方法を支持しており,この方法の有用性が示唆された.
  • 中村太戯留
    第36回日本認知科学会大会予稿集 819-820 2019年9月  査読有り筆頭著者
    ユーモアには何らかの不調和が関与することが知られている.しかし,ユーモアを生じない不調和もあり,ユーモアを生じる条件は不明である.本研究では,韻律を有する皮肉的表現を用いて,文脈情報,発話内容,そして発話韻律の組み合わせで,不調和とユーモアの関係を実証的に検討した.結果,ネガティブな文脈とポジティブな内容と韻律の組み合わせの面白さが一番高く,ユーモアは文脈との不調和数と関係する可能性が示唆された.
  • Tagiru Nakamura, Tomoko Matsui, Akira Utsumi, Mika Yamazaki, Kai Makita, Tokiko Harada, Hiroki C. Tanabe, Norihiro Sadato
    13(5) 553-565 2018年10月  査読有り筆頭著者
  • 中村太戯留
    第35回日本認知科学会大会予稿集 939-940 2018年9月  査読有り筆頭著者
    ユーモアは皮肉表現からも生じうることが知られている。しかし、ユーモアを生じない皮肉表現もあり、ユーモアを生じる条件は不明である。本稿では、日常的表現を用い、ユーモアと皮肉の関係を実証的に検討する試みである。意味分析の結果、ユーモアを生じた群では「次回にやり直しができる程度の悪い出来事」が関与するのに対して、ユーモアを生じない群では「やり直しの出来ない深刻な悪い出来事」が関与するように見えることが示唆された。
  • 中村 太戯留
    慶應義塾大学 2018年2月  査読有り筆頭著者
    第1の研究目的は、コトバの内容を何らかの基準に基づいて「面白い」と評することに対応しうる言語理論を提案することであった。第1章でその検討をし、その基準は関連性という情報の属性で、ユーモア理解における不調和解消の要は関連性感知であるという仮説を得た。第2の研究目的は、ユーモア理解に特有な神経基盤は不明という問題に対して、不調和の感知とその解消を実験的に区別する手法を考案することであった。第2章で検討をし、隠喩的表現を用いることで不調和の解消段階は分離可能であるという結論を得た。第3の研究目的は、その手法とイメージング手法を用いてその特有な神経基盤を特定することであった。第3章で検討をし、ユーモア理解の要は扁桃体であるという結論を得た。また、第4章で展望的な検討をし、「面白い」はあらゆる事象で生じうるという結論を得た。
  • 中村太戯留
    第34回日本認知科学会大会予稿集 1083-1084 2017年9月  査読有り筆頭著者
    隠喩的表現の面白さには、価値の低下(優越理論)、何かが放出される感じ(エネルギー理論)、そして何かが間違っている感じや新たな関係性の発見(不調和解消理論)という感覚の関与が予想された。19名の大学生を対象に、これらの感覚を調査した。結果、何かが放出される感じと、新たな関係性の発見の主効果が認められた。そのため、面白さの判断には、これらの感覚が関与する可能性が示唆された。
  • 飯沼瑞穂, 松橋崇史, 中村太戯留, 千代倉弘明
    International journal of information and education technology 7(3) 242-245 2017年3月  査読有り
    地理情報システムは、容易に利用できるようになった。教師はこの技術をカリキュラムにどのように組み込むか。地理空間技術のユニークなリテラシーの新しい側面は何か。デジタル空間の考え方にはどのようなスキルが関係しているか。本稿では、Google Earthが大学環境でコンピュータ支援協調学習環境でどのように使用されたかのケーススタディを実施した。結果、この使用により、受講生は社会問題の関心と理解を高めることができる可能性が示唆された。
  • 中村太戯留
    第33回日本認知科学会大会予稿集 807-808 2016年9月  査読有り筆頭著者
    隠喩的表現の面白さには「何かが間違っている」という感覚が重要と考えられる。21名の大学生に、面白さはその感覚を伴うのか、それらの論理的説明は可能かについて調査した。結果、過半数が面白いと回答した表現では、約半数の参加者は間違いの関与を支持する一方、残りは支持しなかった。論理的説明に関しても同様であった。そのため、面白さの判断には間違いの発見のみではなく他の要因も関与する可能性が示唆された。
  • Tomoko Matsui, Tagiru Nakamura, Akira Utsumi, Akihiro T. Sasaki, Takahiko Koike, Yumiko Yoshida, Tokiko Harada, Hiroki C. Tanabe, Norihiro Sadato
    NEUROPSYCHOLOGIA 87 74-84 2016年7月  査読有り筆頭著者
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰
    第32回日本認知科学会大会予稿集 620-621 2015年9月  査読有り筆頭著者
    隠喩的表現の面白さには、見劣り効果、すなわち不調和な2つの解釈の同時生起において、初めの解釈よりも、重要性や価値が低下し、見劣りする2つめの解釈が重要な効果を発揮すると考えられている。本稿では、大学生を対象として、面白い隠喩的表現の提示前後での使用された語の印象変化を調査した。結果、「価値のある」「神聖な」そして「上品な」の印象低下、特に「神聖な」の低下が認められた。そのため、隠喩的表現の面白さには、見劣り効果が関与する可能性が示唆された。
  • 中村太戯留, 松井智子
    脳科学辞典 2015年6月  査読有り招待有り筆頭著者
    連想・比喩の解説を記載した。連想は語と語の組み合わせの記憶であり、内側の側頭葉に保持されており、海馬が重要な役割を果たすと考えられている。比喩はこの連想を意図的に破綻させ、新たな意味を想像し創造することを促す作用があり、大脳の左半球は意味的逸脱の検出や照合、内側前頭前野は意味的一貫性の推論、右半球や皮質下領域は比喩特有の処理に関与している可能性が示唆されているが、一貫した見解は得られていない。
  • 中村太戯留, 松井智子
    脳科学辞典 2015年6月  査読有り招待有り筆頭著者
    語用論の解説を記載した。語用論とは、聞き手が「話し手が伝えたいと思っている意味」を理解できるのはどうしてかを研究する学問である。皮肉表現や比喩表現が重要な研究対象である。一般的な言語処理に関与する神経基盤に加え、内側前頭前野や、右半球、皮質下領域の関与が示唆されているが、一貫した見解は得られていない。また、語用論の障害は、言語の社会的使用の異常さとして特徴づけられている。
  • 中村太戯留, 松井智子
    脳科学辞典 2015年6月  査読有り招待有り筆頭著者
    言語の解説を記載した。脳科学が対象とする言語は、言語学の知見、神経心理学の知見、そしてイメージング研究の知見を総合して考える必要がある。言語学の主な分野としては、音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論がある。神経心理学では、失語症の研究から言語中枢を明らかにした。イメージング研究では、加えて意味論や語用論の神経基盤にアプローチしているが統一見解には至っていない。
  • 松橋崇史, 飯沼瑞穂, 中村太戯留
    地域活性研究 6 213-222 2015年3月  査読有り
    地域活性化をテーマにした協働学習を実施した。協働学習を促すためにグループウェアを導入し、受講生間の相互作用を促した。地域活性化をテーマにした協働学習を大学の授業で行う際の課題と、グループウェアを導入した狙いとその仕組みを説明した。受講生アンケートの結果、グループウェアによって個人課題やグループ課題の相互参照を促すことが、街づくりへの関心を喚起することが示唆された。
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰
    第31回日本認知科学会大会予稿集 827-828 2014年9月  査読有り筆頭著者
    本稿では、隠喩的表現における面白さの度合いとその理由との関係(特に「見劣り効果」の影響)に関して調査した。実験参加者として37名の大学生が参加し、面白いかどうかの判断、およびその理由を選択肢から選択してもらった。結果として、見劣り効果を有する隠喩的表現は、面白さの度合いが強くなる傾向がみられた。このことから、面白い隠喩的表現においては、見劣り効果が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰
    第30回日本認知科学会大会予稿集 634-635 2013年9月  査読有り筆頭著者
    本稿では、隠喩的表現の面白さの尺度構成を試みた。その尺度は不調和の程度とその解決法によるMandlerの情動の分類モデルと大まかに対応することが予想された。実験参加者は40名の大学生で、各表現が面白いかどうかを判断し、その理由を選択してもらった。主成分分析の結果、感情強度と価値という主成分が検出された。このことから、隠喩的表現における面白さの尺度は感情強度と価値の統合によって構成可能であることが示唆された。
  • 中村太戯留, 脇田玲, 千代倉弘明, 田丸恵理子, 上林憲行
    第29回日本認知科学会大会論文集 430-431 2012年12月  査読有り筆頭著者
    本稿では、変形型の反転授業の効果を検証した。これにより、ドロップアウトする受講生が減り、授業の質が上昇することが予想された。3DCGの受講生が参加し、学期末の授業評価を実施した。結果、ドロップアウトする受講生は減り、ほぼすべての週の授業が好評価を得た。そのため、変形型の反転授業はドロップアウトする受講生の減少と授業の質の向上に寄与する可能性が示唆された。
  • 飯沼瑞穂, 中村太戯留, 千代倉弘明
    論文誌ICT活用教育方法研究 15(1) 19-24 2012年11月  査読有り
    グループワークの場合にはモチベーションの低い受講生がグループ全体の士気を低下させるという問題がある。そこで、グループ内評価を実施し、頑張った受講生が報われる評価方法を導入した。結果、グループワークが活性化する可能性が示唆された。
  • 飯沼瑞穂, 中村太戯留, 千代倉弘明
    コンピュータ&エデュケーション 32 41-44 2012年9月  
    本稿では、大規模講義型教室でグループウェアを使用した結果を報告する。テーマとしては、ユネスコ世界遺産の3D文書を作成するよう求めた。受講生アンケートでは、どのようにカリキュラムを評価したかを調べた。結果、比較的多数の受講生がグループウェアの使用を積極的に評価していた。大規模な教室においては、教師の目が受講生一人ひとりに届かないという難点があるが、グループのコミュニケーションがそれを補完する可能性が示唆された。
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰, 山﨑未花, 牧田快, 田邊宏樹, 定藤規弘
    Proceedings of the 34th annual meeting of the cognitive science society 797-802 2012年8月  査読有り筆頭著者
    ユーモア理解の主要な理論として、不調和解消モデルが提唱されている。不調和の解消段階は、ユーモアを生じる要である点で重要であるのだが、先行研究ではその分離に成功していない。そこで、認知効果と処理労力のバランスで定まる関連性の挙動として要の神経基盤を捉えることを試みた。結果、オチを聞く前と後、および面白いと面白くない、の2要因に相互作用が見られたとき、両側扁桃体の賦活が認められた。そのため、扁桃体がユーモア理解において重要な役割を果たす可能性が示唆された。
  • 中村太戯留, 服部隆志, 千代倉弘明, 田丸恵理子, 上林憲行
    第28回日本認知科学会大会論文集 589-590 2011年9月  査読有り筆頭著者
    これまでオンライン教材で実施してきたコンピュータプログラミングの授業方法に工夫を重ねた結果を報告する。あえてプログラムを手書きさせること、それに対して個別フィードバックをして復習を促すこと、またオンラインで個別フィードバックをすること、そして手書きとオンラインを併用することを試みた。結果、手書き効果と個別フィードバックの効果は1対1.89と推定された。これらから、両方とも効果はあるが、後者の方がより高いことが示唆された。
  • 中村太戯留, 服部隆志, 田丸恵理子, 上林憲行
    第27回日本認知科学会大会論文集 692-693 2010年9月  査読有り筆頭著者
    オンライン教材に対する手書きワークシートとフィードバックの効果を検証した。実験参加者は97名であった。条件は、(1)オンライン教材のみ使用、(2)手書きワークシートを追加、そして(3)個別フィードバックを追加の3種類を設定した。結果、弱い効果はワークシートのみで表れたが、強い効果はさらに個別フィードバックが必要であった。このことから、手書きワークシートとフィードバックの両方とも重要であるが、後者の方がより重要であることが示唆された。
  • 中村太戯留, 田丸恵理子, 上林憲行
    東京工科大学研究報告 5(5) 3-13 2010年3月  査読有り筆頭著者
    大学講義におけるノートテイキングを手書きで行う場合、タイピングで行う場合と比べて記憶のパフォーマンスが高いことの理由を検討した。かな漢字変換システムがタイピングによるノートテイキングを行う際の障害となっており、ノートに抜けや誤りが多い状態になる可能性が高いことが確認できた。対策としては、講義内容のキーワードを意識しながらノートしたり、講義内容を要約しながらポイントをノートしたりすることで改善を図ることが出来る可能性が示唆された。
  • 飯沼瑞穂, 中村太戯留, 千代倉弘明
    In Proc. of E-LEARN2009 397-401 2009年10月  査読有り
    これまで学習支援の補助教材としてワークシートが活用されている。直接肉眼で観察できずかつ3次元に広がるコンテンツは3DCGを用いて自由に観察しながら学習できることが望ましい。しかし、これまでインタラクティブな3D教材の制作は専門の高度な技術が必要であり、制作の障害となっていた。そこで、3Dコンテンツをクラウド上で制作できる支援システムを用いた教育を実践した。結果、ほとんどの受講生がコンテンツを無事に作成することができた。
  • 中村太戯留, 田中茂樹, 田丸恵理子, 上林憲行
    第26回日本認知科学会大会論文集 176-177 2009年9月  査読有り筆頭著者
    手書文字観察時の脳活動をfMRI装置で撮像し、さらに視覚的なノイズ要素の分離を試みた。結果、両側視覚連合野、左帯状回、右尾状核の賦活が観測された。手書き文字には書字の際の手の動きを関連づけて捉えるように仕向ける作用がある可能性が示唆された。
  • 飯沼瑞穂, 中村太戯留, 千代倉弘明
    In Proc. of CEC2009 246-257 2009年5月  査読有り
    国際教育においては、実際に問題が生じている現場を訪れることが難しいという問題がある。そこで、バーチャルに現地を訪れて現場を観察する支援ツールの活用が必要となる。それらの情報をオンラインで共有可能なツールを用いて、情報を付加しながらインタラクティブに現場を学ぶ教育を実践した。多くの受講生が、以前よりも興味深く学習を進めることができた。
  • 中村 太戯留
    心理学研究 80(1) 1-8 2009年  査読有り筆頭著者
  • 中村太戯留, 田中茂樹, 田丸恵理子, 上林憲行
    第25回日本認知科学会大会論文集 390-391 2008年9月  査読有り筆頭著者
    大学の講義において、ワープロを用いてノートテイキングを行う受講生が増えている。しかし、記憶への定着という観点から、それを疑問視する研究も少なくない。そもそも手書き文字と活字という文字自体においても、脳に与える影響に何らかの差があると考え、それを探るためのfMRI実験を実施した。結果、両側後頭葉に加えて、紡錘状回が賦活し、文字の表情把握をしている可能性が示唆された。
  • 中村太戯留, 田丸恵理子, 上林憲行
    第24回日本認知科学会大会発表論文集 518-519 2007年9月  査読有り筆頭著者
    大学の講義ノートをワープロでとる受講生が増えている。一方、ノートを手書きによってとる場合と比較し、ワープロでノートをとることを危惧する研究も少なくない。そこで、講義ノートをとっている際の視線を観測し、学習内容の確認テストの結果と比較した。結果、ワープロでノートを取った際には視線の欠落が見られ、欠落した部分は確認テストで点数が悪くなっているという事例が観測された。そのため、ワープロを危惧する一因は「かな漢字変換」による注意の分散である可能性が示唆された。

MISC

 28
  • 中村 太戯留
    日本心理学会第89回大会発表論文集 1316 2025年9月  筆頭著者
    ユーモア理解の見いだし理論では,保護フレームが機能した状態において関連性を感知するとユーモアが生じると提案している。一方,優越理論では攻撃性がユーモアの本質,またエネルギー理論では抑圧された性的ないし暴力的な心的エネルギーの放出がユーモアの本質と提案しており,統一的な見解には至っていない。そこで,これらの理論が本質と提案する攻撃性や性的要因や暴力的要因を含むネタ,そして対照条件としての夫婦ネタというユーモアのネタの種類ごとの面白さと保護フレームや関連性感知の関係について,質問紙調査により実証的に検討した。その結果として,面白さは,保護フレームと関連性感知の影響を受けつつ,特に後者から強い影響を受けることが確認された。優越理論やエネルギー理論が本質とする攻撃性や性的ないし暴力的な要因による面白さは,男性の関連性感知から強めの影響を受ける可能性が示唆された。一方,夫婦ネタの強めの面白さは,男女双方の保護フレームと関連性感知から影響を受けることによる可能性が示唆された。すなわち,見いだし理論の保護フレームと関連性感知という機制により,ネタの種類別のユーモア理解を整理できる可能性が示唆された。
  • 中村 太戯留
    日本心理学会第88回大会発表論文集 737 2024年9月  筆頭著者
    自分は守られているという認識のときに危ない知らせを得るとユーモアが生じる,というのがユーモア理解の「見いだし」理論の骨子である。先行研究では,攻撃的ユーモア,遊戯的ユーモア,そして支援的ユーモアに分類可能であることが報告されているが,「見いだし」理論との対応づけは不明となっている。そこで,本稿では,向社会的行動尺度およびハピネス尺度との関係からユーモア理解の特性を探った。攻撃的ユーモアは,向社会性と負相関の関係になっていることから,反社会的な傾向,すなわち社会的に危ない知らせを強調する傾向を有すると考えられた。一方,支援的ユーモアは,向社会性と正相関の関係になっていることから,向社会的な傾向,すなわち社会的に守られているという認識を強調する傾向を有すると考えられた。なお,遊戯的ユーモアは,社会的に守られているという認識と,社会的に危ない知らせのバランスが取れた状態と推測された。そして,支援的ユーモアは,ハピネスと正相関になっていることから,心理的にも重要な役割を果たす可能性が示唆された。
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰
    生理学研究所年報 44 230-231 2023年12月  招待有り筆頭著者
    本研究で、は語用論的解釈における認知要素と情動要素の協働機制を、皮肉理解や比喩理解の神経基盤に着目しつつ探求している。比喩の面白さ(ユーモア)の理解においても扁桃体が賦活しており、扁桃体は情動要素(関連性の感知など)として重要な役割を果たしていると考えられた。一方、ユーモアを生じる前提として保護フレームは認知要素としての文脈情報の一種と考えられる。その神経基盤の候補としては、側頭葉前部、尾状核、前帯状回が挙げられた。すなわち、語用論的解釈においては、情動要素に加えて、認知要素が共同して機能していると解釈された。
  • 中村太戯留
    日本心理学会第87回大会発表論文集 670 2023年9月  筆頭著者
    ユーモア理解の“見いだし”理論(中村, 2022a)は,ヒトの生存と関連性のある事柄を見いだした際に,“保護されている”という認識の枠組み(保護フレーム)が機能することでユーモアが生じる可能性を示唆している。中村(2022b)は,中村(2009)のデータに対して主成分分析を実施し,保護フレームの機能が強まるほど面白さも強まる可能性を報告している。しかし,関連性のある事柄との関係については必ずしも明確にはなっていない。本稿では,中村(2009)の刺激で使用されている感情語と保護フレームの関係について検討した。結果,感情語を含む謎かけ形式の表現として13個を特定した。それを保護フレームと面白さの関係の図(中村, 2022b)に重ねると,保護フレームが機能し,強めの面白さが生じているあたりにネガティブ感情の語が認められた。すなわち,ヒトの生存と関連性のある事柄が,保護フレームの機能するなかではユーモアを生じるとする見いだし理論の見解と整合する結果であった。
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰
    生理学研究所年報 43 212-213 2022年12月  招待有り筆頭著者
    本研究では、語用論的解釈における認知要素と情動要素の協働機制を神経基盤の観点から探求した。皮肉理解において、認知要素としての文脈情報と発話内容の不調和を感知する際に、内側前頭前野の前方、側頭極、小脳の活性が認められた。これらは「心の理論」の処理に関与している可能性が示唆された。一方、情動要素としての発話韻律と発話内容の不調和の感知では扁桃体が賦活した。そして、両要素の統合機構として、帯状回を含む内側前頭前野の後方、島皮質、前頭前野が活性化した。すなわち、両要素は顕著性ネットワークを介して前頭前野で統合されると解釈された。

書籍等出版物

 3
  • 中村太戯留 (担当:分担執筆, 範囲:第7章 保護フレームと関連感知によるユーモア理解の動的語用論 (pp.132-151))
    開拓社 2025年1月 (ISBN: 9784758913782)
    「自分は守られている」という認識(保護フレーム)のときに「危ない知らせ」を得る(関連感知)とユーモアが生じる。ユーモア理解の「見いだし」理論(中村 2021)では、平たく言うとこのように私たちがユーモアを理解するプロセスを捉えている。私たちが動的に他者の言葉を理解する過程においては、一見すると複雑に見える現象の背後に、比較的シンプルな原理が働いていると考える。この論文では、保護フレーム(Apter 2007)と関連感知(Sander et al. 2003)という二つの概念装置を用いることで、先行研究で紹介されている動的に意味が変化するユーモアの例文も整理可能であることを示した。また、それらの概念装置の神経基盤についても考察した。
  • 中村太戯留 (担当:分担執筆, 範囲:第4章 MESHを駆使しよう、第5章 MESHでデザインしよう)
    オーム社 2019年5月
  • 中村太戯留 (担当:分担執筆, 範囲:第19章「比喩の面白さを感じるメカニズムの検討」)
    ひつじ書房 2007年10月 (ISBN: 9784894763173)
    不調和解消理論によれば、ユーモア理解には不調和の感知段階と解消段階とが関与するため、不調和を解消するというプロセスを経る場合は、経ない場合よりも反応時間がやや長くなることを実証的に示した。

講演・口頭発表等

 75
  • 大石凌仁郎, 中村太戯留, 有馬宏和, 山本浩之, 武藤ゆみ子
    日本教育工学会研究報告集, 2025(3), 117-120 2025年10月
    本研究は,学習時の集中を支える要因を把握するため,質問紙調査と画像認識で抽出した表情特徴量を用いて分析した.集中の自己評価,環境要因,デバイス利用等を収集し,課題時の表情と合わせて検討した結果,環境要因に加え,集中時の表情を可視化し自己認識することが,各学習者に適した集中戦略の設計に寄与する可能性が示された.
  • 中村太戯留
    情報教育シンポジウム2025論文集, 185-188 2025年8月
    心理測定尺度の回答の結果を考察の対象とする授業において,結果を回答した受講生に自動配信するシステムを導入することにより,授業の効率化と受講生の学修意欲の向上を図った.心理測定尺度は20項目程度の5段階尺度から構成されており,そのうちの数個の項目は数値の大小を逆転して集計する必要がある.前年度の授業では,回答した受講生自身に表計算ソフトを用いて集計してもらったが,集計スキルの個人差が大きく,本来の結果の考察という活動までなかなかたどりつけない受講生がいるという問題点があった.そこで,本年度の授業では,心理測定尺度の回答システムに逆転項目を考慮した集計とその結果を回答者に自動配信する機能を追加した.学期末に,授業方法に関するアンケートを実施したところ,前年度よりも高い評価となっていた.そのため,心理測定尺度の逆転項目を考慮した結果の自動配信システムを授業内で活用することの有用性が示唆された.
  • 中村知愛, 中村太戯留, 有馬宏和, 山本浩之, 武藤ゆみ子
    情報教育シンポジウム2025論文集, 163-164 2025年8月
    「愛想が良い」という主観的かつ文脈依存的な概念を,客観的で定量的な指標を用いて明確化することを目的に,人と AI の面接場面における非言語行動の特徴を比較・分析した.具体的には表情分析を通じて愛想の評価基準を検討するとともに,複数の AI 面接支援アプリを評価し,その機能性や UI/UX 上の課題を明らかにした.これらの結果は,AI 面接の改善および応募者が意識すべき非言語行動の明確化に寄与すると期待される.
  • 山下琴音, 中村太戯留, 有馬宏和, 山本浩之, 武藤ゆみ子
    情報教育シンポジウム2025論文集, 159-162 2025年8月
    岡山県笠岡市のご当地銘菓「かぶとがにまんじゅう」の認知度向上を目的に,人と AI の協働によるリブランディング手法を提案した.まず,全国 47 都道府県の饅頭を対象に〈名産品活用・コラボレーション・キャラクター採用・観光地関連性・バリエーション〉の 5 属性と,食感を示すオノマトペについて抽出・分析し,消費者アンケート結果とあわせて地域固有のニーズを導出した.次に,その結果に基づき,大規模言語モデルと画像生成モデルを活用して新たなフレーバー案やパッケージデザインを提案した.一般消費者を対象とした評価の結果,その有効性が確認され,笠岡市の地域活性化に寄与する可能性が示された.本手法は,笠岡市の地域活性化に寄与するとともに,データ分析・生成 AI・Human-AI in-the-loop を統合することで,他地域のリブランディングにも汎用的に適用し得ることが示唆される.
  • 鈴木玲菜, 高橋和枝, 山本浩之, 中村太戯留
    情報処理学会研究報告,2025-CE-178(1),1-8 2025年2月
    本論文では,データサイエンスを活用するスキルの育成のための実践学修の事例を報告する.従来,データサイエンス(機械学習)のスキルは,大規模なデータから一般的な傾向を見つけるために活用されてきた.それに対して,現在,自身に関するデータを容易に収集できるようになったため,そのデータから自身の暗黙的な性質を見つけることで,自身が直面している問題に対処しうることが期待される.本論文では,片頭痛の発生予測の実践事例を通して,このようなデータサイエンス活用およびそのためのスキル育成の重要性について議論する.片頭痛は学業や日常生活に大きな影響を与えるが,その原因は各人各様であるため,既存の予測ツールでは個人の状況に応じた予測に十分には対応できない.そこで,機械学習ツールを用いて個人に特化した片頭痛の予測を試みた.天候データやスマートウォッチで取得した睡眠データや生体データを特徴量とし,各自の主観データである片頭痛の痛みの度合いをターゲットとした片頭痛の予測モデルを構築した.約1.5か月間のデータ収集により,それまで気づけなかった天気予報中の用語の出現頻度,睡眠時間や心拍変動との相関が明らかになった.

担当経験のある科目(授業)

 15

共同研究・競争的資金等の研究課題

 5