浅野貴博
ルーテル学院研究紀要 (50) 33-42 2017年3月
本稿では,先行研究のレヴューを通して,ソーシャルワーカー(以下SWer)が専門職としての判断を下す際に用いるナレッジベースに関する議論について概観した。 SWer のナレッジベースはフォーマルナレッジとインフォーマルナレッジに大別することができるが,近年のEBP が重視される潮流の中で,一貫性を欠く実践につながり得る,個人的経験に基づくインフォーマルナレッジに頼るのではなく,科学的に確立された知識であるフォーマルナレッジを用いることが強調されている。しかし,SWer の多様なナレッジベースを理解するには,両者をそれぞれ「相反する」ものではなく,「相補的な」ものとして捉えることが重要である。さらに,実際の支援の文脈の中で行う判断は,SWer が専門職として何に重きを置くかという「価値」の側面を伴うことから,プラクティカル・モラルナレッジを含むホリスティックなものとしてSWer のナレッジベースを理解することが必要である。