東郷 裕   
『Seijo English monographs』 (43) 255-269 2012年3月
英文学史上最も印象的な復讐者は、『嵐が丘』の主人公ヒースクリフである。彼の圧倒的な迫力と存在感、冷酷でち密な復讐行為は他に例がない。しかも我々が今なお彼に惹きつけられるのは彼の復讐自体に何らかの意味を見出しているからである。そこで彼の復讐行為を取り上げて分析し、彼の英文学史上の存在意義を明らかにする。その際、彼との比較のために復讐悲劇というジャンルの祖である『スペインの悲劇』の主人公ヒエロニモの復讐の行為も取り上げて論じ、彼の復讐と人物描写の手法を明らかにすることで、この復讐悲劇が持つ重要...