阿部 英樹   木村 彰利   
生物生産学研究 38(2) 111-120 2000年1月
黒瀬町のため池台帳の分析を通じて、ため池潅漑地帯における伝統的水利組織の実態や特質を明確にしようとした。水利施設としての池の存在状況に加えて、池を利用・管理する水利集団についても考察した。黒瀬町の池総数は447であった。水田10ha当たりの池数は約5カ所に達し、農家1戸は平均3~4カ所の池と関係を持っていた。ただし大部分は小規模な池で、池1力所当たりの平均的規模は貯水量3,330m3、受益面積6.94ha、受益戸数13.7戸にすぎない。ため池の存在状況には地域差が認められるが、どの地区にお...