松藤 薫子   
日本獣医生命科学大学研究報告 (64) 34-43 2015年12月 [査読有り]
本研究では,日本語児の自然発話資料に基づき,叙述的所有表現の獲得過程を考察することを目標とした。所有とは,所有者が譲渡可能な物を永続的に支配することをいう。松藤(2012, 2014)の知見から得られた(A)のような大人の言語知識に対して,(B)のような子どもの獲得過程で見られる特徴を明らかにした。(A) 叙述的所有表現に関する大人の言語知識a. 語順に関して,「ある」または「持っている」を含む所有文では所有者,所有物の語順が基本である。それに対して「ある」を含む存在文では,場所,存在物の...