酒井 一臣   
史林 = The Journal of history 102(1) 188-224 2019年1月
一九世紀、欧米諸国は国際社会を形成した。この国際社会への参入基準が文明国標準である。本論では、近代日本の国際秩序観の特徴を、文明国標準論の視点から通観する。文明国標準は、国家機構や法制度だけではなく慣習や価値観も西洋文明化することを要求した。日本は、西洋文明受容を大前提とした文明国標準の帝国としての発展をめざした。日本は文明国標準のルールの変更にも従ったが、人種の壁は越えがたいことを認識するようになった。文明国標準にどんなに忠実であっても対等に扱われないことへの不満は、一九三〇年代に日本が...