単著   
『近代教育フォーラム』 14(14) 181-192 2005年
本稿は、公教育形成期に法規範化されていった教員の「品行」要件に着目し、同要件を掲げていた民権結社の趣意書や社則を分析対象として、教職倫理規範の生成過程について解明することをねらいとする。民権派は、自らの振る舞いを導く倫理的主体を結社という新たな人間関係の組み方のなかで立ち上げようとしていた。そうした主体形成こそが、自治・自主・自立の実現、すなわち民権伸張の必要条件だとしたのである。しかし、明治政府は自ら品行正しさを課していた民権派に「不品行」のレッテルを貼って弾圧していった。この「品行」を...