研究者業績
研究者氏名 木本 幸憲
キモト ユキノリ URL 所属 兵庫県立大学 部署 環境人間学部 職名 准教授 学位 博士(人間・環境学)(京都大学) その他の所属 東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所 J-Global ID 201901006447136787
研究キーワード
言語類型論
,危機言語
,認知言語学
,言語ドキュメンテーション
,アルタ語
研究分野
人文・社会 / 言語学 / 言語類型論
人文・社会 / 言語学 / フィリピンの言語学
人文・社会 / 言語学 / 認知言語学
論文
Barth, Danielle   Evans, Nicholas   Arka, I Wayan   Bergqvist, Henrik   Forker, Diana   Gipper, Sonja   Hodge, Gabrielle   Kashima, Eri   Kasuga, Yuki   Kawakami, Carine   Kimoto, Yukinori   Knuchel, Dominique   Kogura, Norikazu   Kurabe, Keita   Mansfield, John   Narrog, Heiko   Pratiwi   Desak Putu Eka   van Putten, Saskia   Senge, Chikako   Tykhostup, Olena   
Language Documentation & Conservation Special Publications No.25: Doing Corpus-Based Typology With Spoken Language Corpora (Edited by Geoffrey Haig, Stefan Schnell, and Frank Seifart) 179-232 2022年1月 [査読有り]
There is a long tradition in linguistics of seeing each language as a powerful factor setting out predetermining grooves in how people express themselves. But how strong is this effect? We know that despite the forces of linguistic habit people no...
木本幸憲   
動的語用論の構築へ向けて(田中廣明・秦かおり・吉田悦子・山口征孝 編) 3 19-44 2021年5月 [査読有り]
本稿は、言語理論、記述言語学のなかで、取り扱いが難しいとされてきた、フィリピンのヴォイス体系について、量的データを元に分析を行った論文である。フィリピンのルソン島北部ではなされるアルタ語のテキストを、Geoffrey HaigとStefan Schnell氏によって開発されたGRAIDと呼ばれるテキストのタグ付けシステムでアノテーションを行い、それを分析した。その結果、個々のヴォイス(行為者ヴォイスと受影者ヴォイス)の情報構造的・意味論的差異が量的に示せることを明らかにした。
木本幸憲   
カルチュラル・グリーン 2 77-96 2021年3月 [査読有り]
本稿では、当該言語が言語記号によってどのように世界をカテゴリー化しているかについて、動植物名詞から派生して作られる動詞に着目して分析を行った。この研究では、フィリピンで話されている4つの言語、アルタ語、カシグラン・アグタ語(伝統的に狩猟採集文化を有する話者集団の言語)と、イロカノ語、カンカナウイ語(農耕文化の言語)を分析した。それによってフィリピンの言語が共通して持っている派生動詞の意味に関する特徴、そして狩猟採集文化、農耕文化という生活様式の違いがもたらす分節化の違いを調査した。その結果...
木本幸憲   
社会言語科学 23(2) 35-50 2021年3月 [査読有り]
言語学では1990 年代から消滅の危機に瀕する言語についての研究が精力的に行われ,言語ドキュメンテーションや言語復興運動など関連する取り組みも盛んに行われている.本論文ではこれに対し,本来多面的で複雑な事象であるはずの危機言語の問題が過度な単純化を持って取り扱われてきたことを明らかにする. ここでは事例研究として,フィリピンにおいて,10 人の母語話者によってしか話されていないアルタ語を取り上げ,その社会言語学的活性度と消滅のプロセスを詳述する.具体的には,アルタを取り巻く多言語社会では,...
木本幸憲   
認知言語学と談話機能言語学の有機的接点:用法基盤モデルに基づく新展開(中山俊秀・大谷直輝 編) 321-353 2020年12月
外国語話者に限らず、母語話者であっても、語彙を忘れて、コミュニケーション上の些細な非流暢性に遭遇することはままある。本論文では、日本語、英語ほか、アルタ語という言語では、そのようなときに彼らがどのようなストラテジーを使って切り抜けているのか、そこには母語話者特有の「流暢な非流暢さ」あることを指摘した。特にアルタ語ではwaという代替語を当該文脈に埋め込み、必要に応じてジェスチャーで補足することで、相手の理解を促し、そのような場面を切り抜けていることを実証的に論じた。
受賞
2022年3月
社会言語科学会, 第21回徳川宗賢賞萌芽賞,「変化する社会への適応方法としての「危機」言語 フィリピンのアルタ語の活性度と消滅プロセスから」『社会言語科学』第23巻第2号, pp.35-50に対して木本幸憲
2021年7月
兵庫県立大学, 教育活動教員表彰 優秀教育活動賞,全学共通科目木本幸憲
2018年6月
日本言語学会, 日本言語学会第155回大会発表賞,「状態性と事態解釈:アルタ語(フィリピン)に見られる非動作動詞」に対して木本幸憲
2014年9月
社会言語科学会, 社会言語科学会第33回大会発表賞,「フィリピン・アルタ語の社会言語学的状況と言語危機」に対して木本幸憲
経歴
2019年4月
-
現在
兵庫県立大学 環境人間学部 講師
2016年4月
-
2019年3月
名古屋大学 大学院人文学研究科 人文学専攻 日本学術振興会特別研究員(PD)
2018年4月
-
2018年12月
メルボルン大学 言語学科 研究員
2017年3月
-
2017年5月
メルボルン大学 言語学科 研究員
2015年8月
-
2016年3月
京都大学 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 研究員
学歴
2011年4月
-
2014年3月
京都大学 大学院人間・環境学研究科 博士後期課程
2009年4月
-
2011年3月
京都大学 大学院人間・環境学研究科 修士課程
2005年4月
-
2009年3月
滋賀大学 教育学部
委員歴
2022年4月
-
現在
日本語用論学会 広報委員会
2020年4月
-
現在
社会言語科学会 大会実行委員会
2019年4月
-
2019年8月
国際認知言語学会第15回大会 大会実行委員会
2014年6月
-
2014年8月
世界アフリカ言語学会議 大会実行委員会
書籍等出版物
横森, 大輔, 梶丸, 岳, 木本, 幸憲, 遠藤, 智子, 井出, 祥子(担当:共訳)
大修館書店 2015年12月 (ISBN:9784469213539)
本書は、学部・大学院生に向けて書かれたコミュニケーション研究の入門書である原著を、日本の読者向けに注釈を施した訳書である。順番交替、隣接対などの会話の構造を理解するのに必要不可欠な概念を解説しながら、それが言語構造、ジェスチャー、認知システム、物理的環境、そして当該文化とどのように関わるかを論じた本である。特に、哲学の発話行為論を会話分析・心理学などから捉え直した章は、学生にとって発話というものを複眼的に捉えられる極めて有益な解説が展開されている。
木本幸憲(担当:単著)
Dallas: SIL International
講演・口頭発表等
木本幸憲   
日本英文学会九州支部第76回大会 2023年10月14日 [招待有り]
所有概念を言語化する際、伝統的に英語は have 型の言語であり、日本語は be 型の言語であると述べ られてきた(池上 1981, 1982、Hinds 1986、上山 2009 ほか)。本発表では、言語類型論的観点から、 そのような日英比較による 2 項対立な観点を相対化し、また所有構文の多様性を存在・所有のイメージ の拡張の度合いの差によって整理する。世界の言語と比較した場合、日本語は、「私は赤い車を持ってい る」「彼女は細い腕をしている」など「持つ、する」という他動詞が存在する点な...
木本幸憲   
日本認知言語学会第24回大会 2023年9月2日
英語の書き言葉では思考内容や発話内容、知識などを表現する際に、that 節などの補文節を用いるのが一 般的である。しかし言語類型論的に見渡した場合、それは普遍的な事象ではない (Dixon & Aikhenvald 2006) 。特に話し言葉においては、補文を使わずとも、多様な構文を用いてそのような意味内容を伝える ことができる。本研究では話し言葉のコーパス類型論の調査を踏まえて、並置構造や、副詞、助動詞など がその代替構文として頻繁に用いられていることを指摘する。また、それが心の理論の研...
Kimoto, Yukinori   
Endangered Languages and Language Documentation (LING 703600) 2023年3月29日 Liao, Hsiu-chuan [招待有り]
Kimoto, Yukinori   Shiohara, Asako   
14th Conference of the Association for Linguistic Typology 2022年12月16日
Yukinori Kimoto   
Webinar of Grammar of Philippine languages 2022年10月8日 [招待有り]
担当経験のある科目(授業)
2021年10月
-
現在
言語学特論 (兵庫県立大学)
2021年4月
-
現在
卒業研究 (兵庫県立大学)
2020年10月
-
現在
グローバル・スタディーズ (兵庫県立大学)
2020年4月
-
現在
専門ゼミナール (兵庫県立大学)
2019年10月
-
現在
国際理解論 (兵庫県立大学)
Works(作品等)
Delia, Bueno Kimoto, Yukinori 2017年1月 - 現在 教材
共同研究・競争的資金等の研究課題
ナラティブをめぐる形態統語論 東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所: 共同利用・共同研究課題塩原朝子 渡辺己 児倉徳和 倉部慶太 稲垣和也 遠藤智子 大野仁美 木本幸憲 熊切拓 中川奈津子 成田節 野元裕樹 EVANS, Nicholas SCHNELL, Stefan BARTH, Danielle 
研究期間: 2022年4月 - 2025年3月
社会貢献活動
【出演】NPO法人地球ことば村・世界言語博物館 2月のことばのサロン (オンライン) 2022年2月19日 - 2022年2月19日
ことばとその多様性に関心のある市民に向けて、フィリピンの少数言語とそれをめぐるフィールドワークについて自身の経験を元に、報告した。フィリピンで伝統的に狩猟採集を営んできたネグリートと呼ばれる人々の言語と文化を紹介した。また危機言語といっても、どのような社会状況で生じたかはさまざまであり、同一の価値付けはできない点を指摘した。
【出演,運営参加・支援】東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・国立国語研究所 (オンライン) 2021年3月24日
新型コロナウイルス感染拡大のため、大学の講義や学会において、直接対面で交流する機会は激減し、フィールド調査も計画の大幅な変更を強いられている。こうした現状を踏まえ、学生同士の学術的交流を支援・促進することを目的としたインターゼミナール(大学を越えたのゼミ)をオンラインで開催した。大学院生に自身の研究について情報交換し、コロナ禍で直面している研究上の困難を共有する機会となった。