研究者業績
研究者氏名 木本 幸憲
キモト ユキノリ URL 所属 兵庫県立大学 部署 環境人間学部 職名 准教授 学位 博士(人間・環境学)(京都大学) その他の所属 東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所 J-Global ID 201901006447136787
研究キーワード
言語類型論
,危機言語
,認知言語学
,言語ドキュメンテーション
,アルタ語
研究分野
人文・社会 / 言語学 / 言語類型論
人文・社会 / 言語学 / フィリピンの言語学
人文・社会 / 言語学 / 認知言語学
論文
木本幸憲   
日本語と X 語の対照 2: 外国語の眼鏡をとおして見る日本語(笹原健・野瀬昌彦 編) 2012年8月
本論文では、英語(現代英語)、日本語(現代標準日本語、古代日本語)、アイヌ語(沙流方言)の属格形式を比較・対照し、それぞれが取る機能領域をCroftの構文文法の観点(特に概念空間・意味地図モデル)から分析した。その結果それぞれの言語がもつ所有形式は、その機能が含意的関係を有していることを示した。またその基盤には定形性・名詞のプロトタイプ性のパラメーターが関与していることを論じた。
木本幸憲   
日本認知言語学会論文集 12 453-459 2012年5月
本論文では、英語のいわゆる集合名詞の一部が文法的には非可算名詞として取り扱われることに関して、意味論的考察を行った。Furniture, cutlery, equipmentなどは、他の集合名詞(committee, family)と異なり、その集合体を形成する要素間の相互関連性が相対的に弱いこと、そしてその集合としてのまとまりの弱さが、ユニットとして数えることを困難にしていることを論じた。
木本幸憲   
JELS 29. English Linguistics Society of Japan 29 80-85 2012年2月
本論文では、英語の間接照応の分布について認知文法の観点から記述・説明を行った。ある先行詞を間接的に承ける場合、theや所有代名詞が選ばれるが、そのいずれが選択されるかどうかは当該名詞句の意味的な飽和性という西山によって提示された概念が密接に関わっている。名詞の意味的な飽和性を認知文法の観点から整理し、それを間接照応の分布の説明に応用できることを示した。
木本幸憲   
言語科学論集 17 21-47 2011年12月
本論文では、言語に見られる所有形式(英語ではA's BやB of A)を類型論的な観点から整理し、その形式が多機能性(多義性)を持つ場合、ある種の普遍性が存在することを明らかにした。特に今回は所有形式が主語などの項を標示する場合に着目し、所有形式の多機能性に関する普遍的階層性を提示した。また認知言語学、談話・機能主義言語学の知見を取り込むことによって、その階層性を支える機能的・概念的動機付けが明らかになることを示した。
木本幸憲   
KLS 31: Proceedings of the thirty-fifth annual meeting of the Kansai Linguistic Society 1-11 2011年6月
本論文では、英語の可算性の分析を認知文法の枠組みから行った。本論では認知文法で行われている「類」と「事例」の区別をこの分析に適用し,固有名詞を中心とした名詞が「単一の事例」しか有しないことが不可算化の大きな要因であることを種々のデータを通じて示し、またその観点から名詞の下位分類が可能になることを示した
受賞
2022年3月
社会言語科学会, 第21回徳川宗賢賞萌芽賞,「変化する社会への適応方法としての「危機」言語 フィリピンのアルタ語の活性度と消滅プロセスから」『社会言語科学』第23巻第2号, pp.35-50に対して木本幸憲
2021年7月
兵庫県立大学, 教育活動教員表彰 優秀教育活動賞,全学共通科目木本幸憲
2018年6月
日本言語学会, 日本言語学会第155回大会発表賞,「状態性と事態解釈:アルタ語(フィリピン)に見られる非動作動詞」に対して木本幸憲
2014年9月
社会言語科学会, 社会言語科学会第33回大会発表賞,「フィリピン・アルタ語の社会言語学的状況と言語危機」に対して木本幸憲
経歴
2019年4月
-
現在
兵庫県立大学 環境人間学部 講師
2016年4月
-
2019年3月
名古屋大学 大学院人文学研究科 人文学専攻 日本学術振興会特別研究員(PD)
2018年4月
-
2018年12月
メルボルン大学 言語学科 研究員
2017年3月
-
2017年5月
メルボルン大学 言語学科 研究員
2015年8月
-
2016年3月
京都大学 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 研究員
学歴
2011年4月
-
2014年3月
京都大学 大学院人間・環境学研究科 博士後期課程
2009年4月
-
2011年3月
京都大学 大学院人間・環境学研究科 修士課程
2005年4月
-
2009年3月
滋賀大学 教育学部
委員歴
2022年4月
-
現在
日本語用論学会 広報委員会
2020年4月
-
現在
社会言語科学会 大会実行委員会
2019年4月
-
2019年8月
国際認知言語学会第15回大会 大会実行委員会
2014年6月
-
2014年8月
世界アフリカ言語学会議 大会実行委員会
書籍等出版物
横森, 大輔, 梶丸, 岳, 木本, 幸憲, 遠藤, 智子, 井出, 祥子(担当:共訳)
大修館書店 2015年12月 (ISBN:9784469213539)
本書は、学部・大学院生に向けて書かれたコミュニケーション研究の入門書である原著を、日本の読者向けに注釈を施した訳書である。順番交替、隣接対などの会話の構造を理解するのに必要不可欠な概念を解説しながら、それが言語構造、ジェスチャー、認知システム、物理的環境、そして当該文化とどのように関わるかを論じた本である。特に、哲学の発話行為論を会話分析・心理学などから捉え直した章は、学生にとって発話というものを複眼的に捉えられる極めて有益な解説が展開されている。
木本幸憲(担当:単著)
Dallas: SIL International
講演・口頭発表等
木本幸憲   
日本英文学会九州支部第76回大会 2023年10月14日 [招待有り]
所有概念を言語化する際、伝統的に英語は have 型の言語であり、日本語は be 型の言語であると述べ られてきた(池上 1981, 1982、Hinds 1986、上山 2009 ほか)。本発表では、言語類型論的観点から、 そのような日英比較による 2 項対立な観点を相対化し、また所有構文の多様性を存在・所有のイメージ の拡張の度合いの差によって整理する。世界の言語と比較した場合、日本語は、「私は赤い車を持ってい る」「彼女は細い腕をしている」など「持つ、する」という他動詞が存在する点な...
木本幸憲   
日本認知言語学会第24回大会 2023年9月2日
英語の書き言葉では思考内容や発話内容、知識などを表現する際に、that 節などの補文節を用いるのが一 般的である。しかし言語類型論的に見渡した場合、それは普遍的な事象ではない (Dixon & Aikhenvald 2006) 。特に話し言葉においては、補文を使わずとも、多様な構文を用いてそのような意味内容を伝える ことができる。本研究では話し言葉のコーパス類型論の調査を踏まえて、並置構造や、副詞、助動詞など がその代替構文として頻繁に用いられていることを指摘する。また、それが心の理論の研...
Kimoto, Yukinori   
Endangered Languages and Language Documentation (LING 703600) 2023年3月29日 Liao, Hsiu-chuan [招待有り]
Kimoto, Yukinori   Shiohara, Asako   
14th Conference of the Association for Linguistic Typology 2022年12月16日
Yukinori Kimoto   
Webinar of Grammar of Philippine languages 2022年10月8日 [招待有り]
担当経験のある科目(授業)
2021年10月
-
現在
言語学特論 (兵庫県立大学)
2021年4月
-
現在
卒業研究 (兵庫県立大学)
2020年10月
-
現在
グローバル・スタディーズ (兵庫県立大学)
2020年4月
-
現在
専門ゼミナール (兵庫県立大学)
2019年10月
-
現在
国際理解論 (兵庫県立大学)
Works(作品等)
Delia, Bueno Kimoto, Yukinori 2017年1月 - 現在 教材
共同研究・競争的資金等の研究課題
ナラティブをめぐる形態統語論 東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所: 共同利用・共同研究課題塩原朝子 渡辺己 児倉徳和 倉部慶太 稲垣和也 遠藤智子 大野仁美 木本幸憲 熊切拓 中川奈津子 成田節 野元裕樹 EVANS, Nicholas SCHNELL, Stefan BARTH, Danielle 
研究期間: 2022年4月 - 2025年3月
社会貢献活動
【出演】NPO法人地球ことば村・世界言語博物館 2月のことばのサロン (オンライン) 2022年2月19日 - 2022年2月19日
ことばとその多様性に関心のある市民に向けて、フィリピンの少数言語とそれをめぐるフィールドワークについて自身の経験を元に、報告した。フィリピンで伝統的に狩猟採集を営んできたネグリートと呼ばれる人々の言語と文化を紹介した。また危機言語といっても、どのような社会状況で生じたかはさまざまであり、同一の価値付けはできない点を指摘した。
【出演,運営参加・支援】東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・国立国語研究所 (オンライン) 2021年3月24日
新型コロナウイルス感染拡大のため、大学の講義や学会において、直接対面で交流する機会は激減し、フィールド調査も計画の大幅な変更を強いられている。こうした現状を踏まえ、学生同士の学術的交流を支援・促進することを目的としたインターゼミナール(大学を越えたのゼミ)をオンラインで開催した。大学院生に自身の研究について情報交換し、コロナ禍で直面している研究上の困難を共有する機会となった。