大井千鶴, 舟島なをみ, 亀岡智美
看護教育学研究,2009. 18(1) 10-11-20 2009年4月 査読有り
研究目的は、看護基礎教育課程に在籍する学生の就職先選択理由の全容を解明し、就職先選択基準を導くと共に、教育課程の違いによる就職先選択理由の相違を明らかにすることである。看護基礎教育課程卒業直後に就職した病院に1年以上勤務している看護師1400名を対象とし、郵送法による調査を行った。測定用具には、就職先選択理由を問う自由回答式質問を含む質問紙を用いた。その結果、684名(回収率48.9%)より回収でき、自由回答式質問に回答した452名の記述をBerelson,B.の内容分析の手法を用いて分析した。結果は、看護基礎教育課程に在籍する学生の就職先選択理由を表す28カテゴリを明らかにし、それらは、学生が所在地や病床数等を理由に就職する病院を選択していることを示した。Scott,W.A.の式によるカテゴリへの分類の一致率(80.0%、89.2%、90.3%)は、カテゴリが信頼性を確保していることを示した。また、この28カテゴリに基づき、学生の就職先選択の基準13種類が導き出された。さらに、研究結果は、大学・短期大学を卒業した者と専門学校を卒業した者が重要視する就職先選択理由が異なることを明らかにした(p<0.05)。本研究の結果は、看護基礎教育課程の学生に効果的なキャリアガイダンスを提供するための基礎資料となる。